爆破解体作業/夢日記
*夢日記*0081129.sat
みんなでラジオ局を訪れている。
プロデューサーに挨拶をして、今日の話に入る。
「えーっと、全員で出てもらうってことでいいのかな?それじゃあ、上にあがってもらって流れの確認をしましょうか」
プロデューサーの案内で3階まで上がっていく。
3階の部屋は3面が海に面している。これは湾岸地区に立つビルの一室なのだ。
残る1面はスタジオである。
僕らはそれぞれに着座した。
「それでは今日の流れを確認します」
プロデューサーが話し始めた時、僕はプロデューサーの頭越しに珍しい光景を見た。
老朽化した窓のないビルに砂煙が非対称に上がったのだ。
(爆破解体か)
僕は思った。
しかし、ビルは手前側の湾部へと落ちていく。つまりは、失敗したらしいのだ。
ビルの大質量が海へどんどん落下し、そのエネルギーで津波が発生する。
警報音が鳴らされ、避難するようにと拡声器による放送が行われた。
そして2階が水流に呑まれた。
3階の僕らはその瞬間にほっとした。
2階の連中は逃げただろうか?とプロデューサーが言った。
そして、2階を呑み込んだ津波に覆いかぶさるように第2波が来た。
室内を駆け抜ける濁流。
窓際にいた僕は窓に腰掛けるような形になり、とっさに窓枠を掴んでこらえた。
一瞬、視界が室外へと振れるが、体勢をこらえると自然と視界は室内へ戻る。
すると、目の前に手が流れてきた。僕は思わずそれを掴む。それは若い同僚の手だった。
そして、目の前にもう一つの手が流れてきた。僕の手はふさがっていて、どうしようもなくそれを見送った。
掴んだ手を頼りに同僚は自力で窓を登る。
水はほんの1秒足らずで過ぎ去った。
ほとんどの人間がテーブルにしがみついたりしていて助かった。
しかし、一人だけ、手足に過度の緊張がおこる障碍を持つ同僚だけがいなくなっていた。
とっさに何かを掴むことができなかったのだ。
僕は若いのなら自力で助かったかもしれない。あの瞬間に手を持ち換えられなかっただろうか……?
僕は漠然と考えていた。
災害に遭ったからといってスケジュールに変更はない。
高速モノレールに乗って僕たちは豪華客船へと急ぐ。
そこでイベントが行われるのだ。
船内で係の案内を受けたら、たまたまその係が昔の友達だった。
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うーん……
災害時、本当に余力がないとするならば僕は若い先のある人間を助ける。
しかし、安全を確保した後、本当に余力が無かったのか自問することは怠らない。
そういう志向が表れています。