松尾スズキ『クワイエットルームにようこそ』文春文庫/読書感想

芥川賞候補にもなった作品。

しかしこれ、とんでもないブラックユーモアの作品である。

つーか、『精神科医がうつ病になった』の次に読むのがコレってのは、さすがに何なんだ自分。

重ねて書く。

ブラックユーモアだよね、これ?

ぜんぜんハッピーエンドじゃないよね、これ?

アマゾンのレビューとか、笑ったっていう人多いけど、コレ、よく考えたら笑えなくない?

主人公は精神病院に入院して、14日間で退院。

医者との面談は2回きり。しかもおざなり。

投薬治療の計画もなし。

退院後の通院の話もなし。

雑誌連載の話はおじゃんになってる可能性大。

しかも、主人公は今回支えになってくれた内縁の夫と別れ話をしてしまった。

退院後の状況は入院前よりもさらにハードになってます。

これじゃ「弱くてニューゲーム」ですよ。

それでどうやって生きていくの?

精神病院体験記を書く?

面白いかもしれない。

しかし、ハイ、じゃあ次何か書くの?書きたいことないんでしょ?

味を占めてまた精神病体験記でも書くために入院すっか、アハハ。

一度退院したはずの栗山さんが救急車で運ばれてくるのは暗示にしか見えない。

最後に青空をバックにカッコよく終わっているけど、実は『ドグラ・マグラ』の庶民派版ようなループの条件は完成されてしまっている。

まったく、シャレにならない。

これは「ヒロインかっこいい!」って状況じゃなくて「ヒロイン\(^o^)/オワタ」!

ふつーに読んだら分かるって?分からなかった時が怖い!

「悲しくて笑うしかない、絶望から再生への14日間を描いた、第134回芥川賞候補作」というノーテンキな裏表紙の紹介文がやばい!

ていうか、この紹介文ってことは作者自身もこのブラックさに気がついていないのかも知れない。それはすごい。

それにしても、福岡出身の作家ってみんなしてこうなのか?

ゲロでうがいをする夢を見るくだりとか、ああいう現実と夢が相半ばして現実の現象が即夢に取り込まれる感覚とか、ホント、デンジャー。

でも、実際芸能界ってこういう状態で生き続けている人って多いのかもね。

芸能界はこれが当たり前なのかも。

・・・大丈夫か?

実際、こういう精神病院は多いと聞く。

NHK深夜の特番で見たような気がする。

でも、これじゃまずいよ・・・。

これを読んだ方は『精神科医がうつ病になった』でまともな精神科も知ってください。

おねがいします。