海堂尊『チームバチスタの栄光』上・下(宝島社文庫)/読書感想

流石話題になっただけのことはある。

人物造形、舞台描写、展開すべてにおいて高得点。

素晴らしい。

これがデビュー作というのだから、まあ、いや、しかし、驚くのも変なのか?

力がしっかりある状態でデビューしてくる作家が増えているということなのだろうか?

新聞にも取り上げられたバチスタ手術のチームに立て続けに3件起こった術死。

オペのリーダーにも感知し得ない術死の原因を病院長に命ぜられた不定愁訴外来(愚痴聴き係)の田口は専門外ながら調査にいそしむのだがそれでも目の前で4例目の術死は発生してしまい……

という筋です。

医療用語はわからないかもしれないけれど、田口医師もよくわからないそうなのでおいてけぼり感はないです。

殺害の方法は…素人には解けないかもしれないけど、ま、心理的な陥穽をトリックとするのがアンフェアな以上、物理的な可能性は確かにあれかなぁ、と。

バランスが取れたすばらしい作品。

ただ、どうしても手術装置の描写が脳内でうまくいかないので漫画にするとなお面白いだろうな。

最後に、ク・ソ・バ・バ・ア!に同意。

あれのある無しでは話の展開が変わってくるので必要なセリフ。うまい。

おかしいな、とは思ってはいたのだが……。

が、騙されてむかつくので同意しておく。

現役の勤務医ということなのに続編があるらしい。森先生といい、化け物か。

読む。