2007-08-14 夜霧/散文 文散 無知は闇に似ている。 闇の中では、 微かな光がとても強く感じられる。 小さな物音がとても大きく感じられる。 光に誘われ、 もっと強い灯りのある所へ、 もっと明るい所へと惹き寄せられる。 光があれば見えるという希望がある。 そして、いつか明るい所にたどり着く。 白痴は霧に似ている。 霧の中では、 目を開いていても霧が光を散乱して何も見えず、 耳を傾けても霧が音を吸収して何も聞こえない。 どこへ行けば良いのか解らない。 霧が体温を奪い、体は心から冷え切っていく。 夜も昼も、深い霧は人から知恵を奪い、心を奪う。 光があるのに見えない恐ろしさがある。