ダイブ!/夢日記

■070423.mon■

嵐の夜、洋上。

その豪華客船は揺れている。

「爆発!?どこだ!?」

ホールから漏れる光に照らされ、暗雲の手前に黒煙がかすかに見える。爆発はホールではなく、下層の貨物室へ繋がる通路で発生したらしい。「まさかの事態だな」

たった今ホールから出てきた男が背後から声をかけてきた。

「ああ、こんな強硬手段に出てくるとは思わなかった」

俺は鉄柵から身を乗り出して船尾の方向を見遣りながら答える。

「乗客の避難が先かな」

「ああ、アレはここにあるから心配ない。下層との通路を閉鎖して、上に来させるな。しかし…まずいな…横っ腹に穴が開いて煙を吐き出してる」

「おおこわ。脱出は?」

「俺たちは最後だ。巻き込んでしまった形だからな」

「泳げるのか?」

「…10年ぶりだが、何とかなるだろう」

「そうか、宇宙帰りだからてっきり…」

「無駄口たたいてる暇はなさそうだ…わずかだが傾いてきてるぞ!急げ!2班に分かれろ!誘導チームと鎮圧チームだ!」

(んで、いろいろ銃撃戦とかあって)

「俺らで最後だ」

「よし、飛ぶぞ」

その瞬間、少し昔の事を思い出した。

あの頃の将軍は、まだ階級が中佐だった。

中佐はダイビングが趣味で、その日は軍広報のテレビカメラがついてきていた。

ウミガメを追いかけて泳ぐ。

俺は、まだ中佐に拾われたばっかりで全く泳げず…いや、泳げないどころか水に顔を付けるのも怖がっている始末だった。それで俺は水中スクーターにしがみついていたのだが……

「みっともないわね。男の子でしょ?そんな機械から手を離してみたらどうなの?」

中佐の令嬢は手厳しかった。

同じサイズのウェットスーツを着て水の上に浮かんでいるが、彼女の泳ぎは熟練の動きだった。それは、そう、まるで人魚のような―

「ほら、手を離してみて。それで―」

で、溺れた。

あの冷たい目線を思い出すなあ。

でも、今じゃこの荒れた海でも大丈夫なんだ(訓練受けたからな)。

これを無事届けることが出来たら10年ぶりの再会と言うわけだ。

「行くぞっ、ダイブ!」

俺は嵐の海へと飛び込んだ。

□ □ □ 

情報部とか?