ロケ地:佐世保/夢日記
■070414.sat-1
家を出ると外は初夏の陽光に溢れていた。
すごしやすい季節は過ぎ、暑さに耐えかねる日々が近づいている。
日に焼かれる街の中で、今日も大学跡だけが涼しげにたたずんでいるように見えた。この近寄りがたさが再開発事案がまとまらない原因の一つではないかと思われるほどに、廃墟は静かに、過去の記憶を守っている。
僕は屋上でゴルフをしたあの霧の日を思い出す。
建物から建物へと球を打ち、落ちたら負け。
そんな遊戯。
■070414.sat-2.1
うちから坂を下りていった角に肉屋があった。かあちゃんが肉を買いに行く時はいつもそこだった。そして、あいつに初めて会ったのはその肉屋の前で、夕日がほとんど落ちかかった赤紫色の空の下だった。
その時俺は肉屋の前を通り過ぎようとするかあちゃんの割烹着のすそにしがみついてトンカツをねだっていた所で、それなりに不機嫌だった。そこにあいつは駅前通のほうから綺麗な女の人と歩いてきたんだ。きれいに切りそろえられたぼっちゃん刈りで、顔は色白。シャツもズボンもシミ一つなくて、都会から来たおぼっちゃんそのものだった。それだけでもイヤミなのに、あいつは俺と目が合った瞬間見下すような目をしやがった。それで俺はカチンと来て、今にも飛び掛ってやろうかと思った
「お前の母ちゃん綺麗だよなあ。うらやましい」
「うち…ホントは貧乏なんだぜ」
「母ちゃんは人に良く見られたがってあんな風にしてるけど、外見だけだよ」
「嘘つくなよ~。大体、そんなことして何になるんだよ?」
「きっと、母ちゃんには意味があるんだよ。綺麗に着飾って、俺も綺麗にして、それで、自慢したいんだ」
後日、あいつが転校することになった。
「なんで言わなかったんだよ!?俺たち、友達だろ!?」
「ごめん…すごい急に決まったんだ…先週、おじさんがうちに来てさ、母さんと一緒におじさんところに住むことになって…」
「でも…何で…!?」
「母さん…やっぱり良くなかったんだ。病気なんだってさ。それでおじさんとこで」
陸橋の下、ここは人があまり来ない俺たちの秘密基地だった。
夕方は夕日がとても綺麗で、でも、今日はなんか違った。
■070414.sat-2.2
コンベンションセンターを見上げながら歩いている。
今日はいい天気だ。
街行く人の足取りも軽い。
ふと、そんな通行人の間に立っている人物に目が止まった。
知っている気がする。
記憶をまさぐる一瞬の間に、あちらもこちらの視線に気が付いたらしい。
その視線がぶつかり合った瞬間に記憶がつながる。
あの陸橋で喧嘩別れした友達!
「ああ!おい!」
「久しぶり!どうしてた!?」
「お前こそ!いやあ!偶然だな!」
「今もここに住んでんの?」
「ああ、同じ所だ。お前は?」
「僕は今日は母さんを連れて久しぶりに来てみた所」
□ □ □
後半の二つは佐世保が舞台だった。
2.1は途中で書くのをやめてしまっているな。もうちょっと続きがあったと思う。