妖怪じじい/夢日記

■060901.fri■

ホテル住まいも長いと食事のチョイスが大変だ。

あちらの定食屋は昨日の昼、こちらのパスタ店は昨日の晩。

今日の昼は少し寂れた古びた大衆食堂で。

しかし、やっぱりイマイチだった。

今日の晩はどうしようかと考えつつ、ホテルに帰っていくとエントランスの辺りでどこか懐かしい感じのする爺さんに会った。

その爺さんを見た瞬間、ぽつりと降ってきた雨に気付く時のような、どこか意外で、それでいて不愉快じゃない小さな衝撃を感じた。

その爺さんはホテルのエントランスの小段に腰掛けて、一心にプラスチックトレイに入った何かを食べている。

僕は振り返り振り返りしながらホテルの階段を上がっていった。部屋は5階だが僕は階段を使う。

階段を2階半上ったところでようやく思い出した。

「てんぷら爺だ!」

僕は急いで階段を駆け下りた。

見ると爺は立ち上がって何処かへ歩き去ろうとしている。

僕は走って追いかける。

雑踏で爺は浪曲のようなものを歌っている。

「○○は~ぁ♪ ××ぅ~♪

  △△も~ォ♪ ××ぅ~♪」

(註:伏せているのではなく、思い出せない)

そこにそれを不思議そうに見上げていた少年が訊ねる。

「じゃあ、子供は?」

爺さんはにかっと笑ってスパッと答える。

「そりゃあ、□□よ」

子供が問う。

「何で?」

すると爺ますます笑みを大きくして答える。

「子供の可能性は無限大だからサァ」

そしてまた歩き出す。

僕はようやく爺の肩を叩いた。

爺が振り返る。僕の顔を見て驚いたような顔を見せたが、どこか予期していたものがようやく現れたといったような、感心したような驚き顔だった。

またどこかの階段に腰をかけて話をしている。

爺はプラスチックトレイを出して、そこからくらげの煮詰めみたいなものを喰っている。

「で、今はコレだ」

爺はそう言いながら喰うのを止めない。

何でも、顔から次々このくらげの煮詰めみたいなものが落ちてきて、爺は何故かそれを喰わずにはおれないらしい。

顔から半透明の茶色く細長いイカの刺身のような物体がわいては落ちるさまは中々に黄身が悪い。

僕は思い返していた。

前に(夢の中で)会った時も、この爺はおかしな現象に困りきっていた。

初めて会った時は、この爺がスーパーの薩摩揚げ(註:関東圏では「薩摩揚げ」、関西では「てんぷら」。先の「てんぷら」は僕のセリフなので同じものを指している。ややこしい…)が熱いとクレームをつけている所だった。僕はそれを仲裁したのだが、この爺が「どこでてんぷらを食べても熱すぎて食えないのだ」と言って困っている風だったので、いろいろ実験をして原因を確かめて解決してやったのだ。

それにしてもよくよくおかしなものに取り憑かれる爺である。

さて、今回も何とかしてやりたいが、いかんせん前回どうやって解決したのかを思い出せない。

爺も思い出せないという。

う~ん…前はどうやったっけ…?

□ □ □ 

謎のてんぷら爺です。

今回はくらげです。

けっこう気持ち悪いです。