水金地火木土天海、その他/天文
(えっと…実はエラーのせいでこの記事を書くのは実質三度目ですが…)
科学界の出来事が世間をも賑わす珍しい事態となった今回の惑星分類に関して、とうとう国際天文学連合(IAU)は最終判断を下しました。
太陽系の惑星の定義が確定したのです。
(…と言っても、科学の定義は新発見によって覆される余地が必ず0.001%でも必ず存在しますから、いつかまた分類を考える日が来るかもしれないですけど。
日本では学生時代に学んだ事が不変だと思い込んでいる人が随分多いように思います。しかし、科学とは進歩するものです。進歩する時に認識が変わり、定説がマイナーチェンジされる事はままあることなのです)
さて、この新定義によって、冥王星は惑星の座から降格し、"Dwarf Planet"(和訳未確定)の一つとして分類される事となりました。
う~ん…神話好きとしては、ユピテル、ネプチューンが居て、プルートゥが居ないのは居心地が悪いですが、冥王星にはトランスネプチュニアン天体(「ネプチューンの向こうの天体」の意)の代表格として教科書で活躍して欲しいです。
ま、仕方ないか、ちっさいから。
直径で言えば水星(約4900km)の半分以下の約2300kmしかなくて、何より月(約3500km)より小さいですから。
この小ささだと軌道上を支配できないので、今回惑星から外れる事となったのです。
今回決定された惑星の定義を平たく言うと、
【惑星】
1)太陽の周囲を公転している。
2)自身の重力によって球体となっている。
3)公転軌道上の他の天体を掃き散らして(註:重力によって捕らえて、くらいの意味と思う)きた結果、近辺に他に目立った天体が存在しない。
…というものです。
この点、冥王星やセレスや「2003 UB313」は公転してて球体なのですが、軌道上に他の天体(セレスは小惑星帯に存在し、冥王星と「2003 UB313」はエッジワース・カイパーベルトに存在する)がウン百単位で存在しているので、条件3)に適合しません。
というか、これらを惑星に入れるために条件3)を譲ると、今後の観測次第では惑星の数が3桁に突入する可能性があります。
しかしそれでは惑星と一口に言っても性質に幅が大きすぎて研究する上で不便なので、今回分類をはっきりさせようということになったわけです。
冥王星は1930年に発見されてから、観測精度が上がるたびに推定直径がどんどん小さくなっていました。
(ここから得られる科学的教訓は「遠いほど精度は下がる」)
そして、観測精度が上がって冥王星の周りに冥王星みたいな天体がたくさんあることが解りました。
(「いつかは見えなかったものが見えるようになる」暗黒物質だっていつかは…)
ということは、冥王星は惑星じゃないかもしれない。
(「何でも疑ってみる事が大切」)
調べた結果、やっぱり冥王星はちょっと毛色が違いすぎる。定義を変更しよう!
(「誤って改めるに憚ることなかれ」)
って感じです。
しかし、いずれにせよ冥王星が一つの発見の端緒となった事は確かです。
今回の騒動は、結果的に太陽系への理解を深める結果になりました。僕個人としても知らない事、うろ覚えだった事を数多く修正し、再録することができました。
そういう意味で、冥王星の誇りは保たれたような気がします。
きっと今後はトランスネプチュニアン天体(長いな…海王星外天体?)の代表として、ずっと人々に記憶されることとなるでしょう。
(追記)
来年度の教科書の締切りが近いということで、慌てる版元は多いかもしれません。
しかし、学校側で対応する事が望ましいのではないでしょうか?
初等~中等教育において、教示される知識はほとんど間違いの無い定説である場合が多く、「新たな発見によって教科書が塗り替えられる」という科学の動的な側面が伝えづらいとも見て取る事ができます。
科学は万能ではないし、不変でもない。
それを教えられるのが理科教育であるべきだと思います。
何より、用語の和訳の統一、解説の作成などの対応が締切りに間に合わない可能性が高いです。
それに万が一、来年の版が間に合っても、恐らく既に配布されている高校の地学の教科書などは差し替え、或いはそれに順ずる対応は教師がするのでしょう。
冥王星を話の種に、科学の進歩について語る。そういう時間があっても良いのではないですか?
…ところで、占星術に影響あるのか?という話があります。
恐らく、占星術は占いを解く媒介として星を使っているだけですから、根源的には生年月日と時刻で占うものですから、その時間の特徴を解読するために星の位置を経由しているだけです。影響は全く無いと思います。カバラとかは生年月日から直接数字で占うし、宿星は生年月日から二十八宿を経由する占いで似たようなもんです。つまり、生年月日占いの本質は生年月日から得られる象徴的数値であり、惑星は単なる飾りだと思います。
「この期間中は冥王星の影響下にあって…」みたいな言い回しがありますけど、あれは単に昔の星の動きが人生に影響するという迷信を援用したものに過ぎません。
その後、天文学の発見である、天王星、海王星、冥王星を占星術は取り込みました。
完全に親子関係が逆転してますw