驚くということ/物事

人は予測していなかった事態に遭遇すると驚く。

でも、それは予測が足りなかった証拠だろう。

人によって、プラスの予測に偏る人とマイナスの予測に偏る人と両方がいる。

僕の20年くらいの記憶の中では、プラスの予測に偏る人のほうがずいぶん多かったような気がする。

プラス思考の人たちは、マイナスの結果が出ると驚いて感情が揺さぶられる。そして、大抵怒る。

そんな時、マイナス思考の人たちはある程度悲観的に予測していたことなのであんまり驚いていない。

プラス思考の人たちはそれが気に食わなくて怒りをそちらに向ける。

「覚めてる」とか「そう思ってたんなら何かやっといてよ」とか。

マイナス思考の人たちはそもそも控えめな人たちに多くて、プラス思考の人がプラスの空想をしているところに冷や水を浴びせるようなまねをしたがらない。

だから、大抵こういう衝突が起きる。

一方、マイナス思考の人たちはが驚く時は、予想外のプラスの結果が出た時である。彼らはものすごく喜ぶ。

だから、彼らが驚く時は喜ぶときなのである。

このプラス思考とマイナス志向の間にある「驚き」に対する評価の違いは決定的な隔たりがあり、その温度差が集団に亀裂を生むことはしばしばである。

さて、そもそも人間は不完全であり、未来の予測は完全には不可能である。

そう考えると、予想というものは外れることもありうる。

ということは、予想あるいは期待が外れたからといって、怒るのはそれこそ物事に対する考察の浅さを露呈するものであろう。

驚いて怒るのは、とても未熟な行為だと思う。

悲観的予測をしろと言っているのではない。

楽観的予測をしろと言っているのではない。

ただ単に、予測が外れることも含めて、すべての場合を網羅して予測してほしいというだけのことである。