航海/散文

詰まる所、自己嫌悪とは錨であり、自己愛とは船体であり、ペルソナとは帆であろう。

錨が重過ぎては出航できない。

船体が大き過ぎては機動性に欠く。

大きすぎる帆だと風にあおられて転覆する。

帆柱の屈強さは持論の確かさを思わせる。

指針の精度は見る目の確かさを思わせる。

未知の大陸に辿り着くか、それとも海の藻屑と消えるか。

今は、ぐるりと見回しても、海、海、海。

濃さの違う青に際立った水平線が見える。