避難訓練/時事

先頃、新潟県五泉市の小学校で児童が防火シャッターに首を挟まれた事故が発生したとのニュースで、学校の避難訓練に関してちょっと思い出したことがあります。

結局あの事故の原因は、誤作動ということになりそうです。

しかし、この記事では、その主要因とは別の、二次的な要因に目を向けるとしましょう。

事故当時、誤作動で降り始めたシャッターを見た子供達は、「閉じ込められる!」と思ってパニックに陥り、我先にとシャッターの下をくぐって逃げたそうです。

事故の被害児童は、そんな中でランドセルをシャッターに引っ掛けてしまい転倒。そして、頚部を圧迫されてしまったようです。

僕が問題としたいのは、シャッターが降り始めたのを見て児童が「閉じ込められる」と考えた点です。

シャッターは延焼を防ぐためのものであり、避難経路を阻害するようには出来ていないはずです。しかし、それが児童達には理解されていなかった。

避難訓練って一体何なんでしょう?

どこの学校でも一緒だと思いますが、避難訓練というのは、

1.放送で、「○○から出火しました。校庭へ避難してください」というアナウンスが入る。

2.先生が「慌てないで~。慌てると火事では怪我するからね~」と言って、児童を全員廊下に4列に並ばせる。

3.子供は高学年になるほど、かったるそうにだらだら並ぶ。

4.漸く並び終える頃に、「ハイそれじゃ移動しまーす。前の人を押さないように」と先生から指示が出て、てくてくと歩き出す。

5.歩いて校庭に出て、校長のありがたいお話と、消火活動のデモが行われる。

…くらいのもんで、全然訓練にも何にもなっていないのが現状です。

だから、シャッターが降りただけで動揺して(子供には十分怖いですが)、我先に逃げる事になるのです。

これでは実際に火事になった時に危険だと思いますね。

避難訓練というのは、学校で、学校に火元がある場合を想定していますが、実際は学校で火事が起きる事はとても稀です。

むしろ、子供達が学校以外の場所で批難しなければならない状況になった時に、冷静に行動できるようにする事を目的にすべきでしょう。

自分の家で、外出先のデパートで、我先に行こうとして人とぶつかって逃げ損なう。そんなことにならないための訓練として実施するのです。

そのためには、まず大人数で階段や廊下を走る事の怖さを教える必要があります。これは防具をつけて廊下を実際に走ってみるのが良いかも知れません。

僕は防災研究室の実験に参加した事ありますけど、大人数で階段を駆け下りるのはマジで怖いです。そして、人数が多いほど逃げるのに時間が掛かります。だから、少しずつ分けて批難した方が結局は多くの人が逃げられるというのは真理なのですが、それは人間心理を無視していますから、心裡を変える努力が必要です。

そのためには、実感させることが重要と思います。

それから、防火の仕組み、避難経路の仕組みを簡単に説明する事ですね。

防火シャッターは、発火元とそれ以外を隔絶するためのものです。

慌ててくぐると、実は反対側が発火元で閉じ込められちゃいました、なんてことにならないように、シャッターが降り始めたら、取り敢えず避難誘導灯(あの逃げてる緑色のヤツ)を探すべきです(学校には無かったかもしれないので、学校だったら最寄の階段やドアを)。

そういう冷静な行動を促す、簡単な例を使って説明する事も必要でしょう。

消火器使ったりなんたりというのは、中学生以上じゃないと先ず無理です。ま、実際は中学生でもよっぽど肝が据わってないと無理です。

なので、先ずはパニックになら無い事を実地で教えるのが先決でしょう。

…さて、実際には今回の事故は管理者側のヒューマンエラーの積み重なりで説明されそうです。

しかし、日本の避難訓練が本質的に抱えている問題についても、注意を向けるべきだと思います。

地震の時はエレベーターを使うな、とかも、実際どの程度の人が覚えているんだろう?って感じです。

地震大国だというのに…。