コマ/散文

人間の精神構造は、不格好なコマに喩えられるように思う。

そのコマには、所々厚みが不均一な所があり、重心が偏って軸がブレる原因となる。

人は、その出過ぎた部分を削るか、反対の凹んだ部分を埋めるかしてバランスをとる。

軸は、その人の興味の中心。

だから円周は中心分野から最も遠い分野を示す。

興味が狭い人は太いコマ、浅く広い人は平べったいコマ。

それぞれ、特徴がある。

コマはいつも回っている。

回転が速いか遅いかはその人次第。

巧くバランスをとれたコマは軸のブレが小さいから、安定して速く回転出来る。

バランスの悪いコマは、あまり速く回るとすぐにコケるから、ゆっくり回りながら厚みの調整に力を入れる。

社会はそんなコマを沢山載せたコマ台で、時にその上ではケンカも起こる。

小さなケンカなら、お互い凹むなり、圭角が取れるなりするだろう。

大きなケンカなら、誰かが転ばされたり、弾き出されたりするだろう。

バランスの悪いコマは一つ所で回り続けるのが難しいから、他とぶつかりやすいだろう。

軽いコマ、磨り減ったコマは、転びやすく、弾き出されやすいだろう。

それを気にする人はゆっくり回り、気にしない人は自分勝手に速く回る。速く回って、誰かを傷付けて、そして自分もコントロールできずに台から墜ちる。

コマの上面には、模様が浮かぶ。

心豊かな人ほど鮮やかに。

一本気な人は一色で、多才な人は多彩な色で、鮮やかに色付いている。

それは一つの舞踏会。

それぞれに色鮮やかに、くるりくるりと回り続ける。