旅行記/夢日記

■060514/SUN■

温度計が示す正しい気温よりも、もっと寒く感じる灰色の都市の夜。

僕は列車を待っている。

「トーキョーステーション」という呼び名は未だに好きになれない。

無粋だと思う。

列車がやって来た。

流線型の灰色の車体。グランドエクスプレス。

僕はそれに乗り込む。

旅の目的は雑誌記事の取材だ。

熊本の片田舎にある、歴史ある建築物を見に行き、紹介記事を書く。

〆切が近いのでのんびりはできない。

輪転機が回転しながら迫ってくる妄想を描いた。

目的地までは車だ。

灰色の都市とは異質な、空色の下に緑と砂色をバランスよく配置した風景。ここは田舎だ。

案内の標識が少なくて困る。

自分がどのへんを運転しているのかすら段々不安になってくる。

ふと、巨大な建築群が低い丘の向こうに見えた。

それはやぐらと呼ぶべきか、石塔と呼ぶべきか。かなりの高さがある。目算だが、30mを超えるのではなかろうか。

4本の柱に各階の床と屋根を据えたその建造物は全てが石造りで、長い年月を経てきた証として、深緑のコケと雨水による黒斑が全体を覆っている。

それは、何のための建築であったかは不明らしい。ただ、長い間、そこに建ち続けている。

遠目の写真を数枚取っておいた。

車を更に走らせる。

先ほど見えた丘の近くにまで来ると、鬱蒼とした林に包まれて石塔は見えなくなっていた。

自分の方向感覚を頼りに丘越えの道を選択する。

輪転する柱のイメージ。

□ □ □

気付いたら目が覚めてた。

この夢に登場する建築物は熊本に実在しません。

あくまでイメージです。イメージ。

体調悪いから解釈が難しい夢見てるな。

自然や古い形に戻るイメージかな。

ずれた感覚が戻る過程を仮託しているのかもしれない。