口下手/myself
昔っからそうだけど、自分の考えている事を口で巧く伝えられた記憶が余り無い。
相手の言葉に反応する会話は大丈夫だけど、自分の考えを説明する段になると、どうにも口下手なのだ。
原因は恐らく、思考と口語の口調のミスマッチにあると思う。
僕の思考は始原的には厳格で上から物を見た口調で構成されているため、目上の人や同級生、それから年端のいかない人たちと話す時は、それらに合わせた口調へと変換する作業が必要になってくるのだ。
一方で、一度始まった思考は加速をし続け、喋りが追い着かなくなり、外から見ると論理が飛躍する。
話しながら、
「そこが良くない所だけど…いや、いい面もあるかな。しかし、それは無茶か。いや、ごめん。考えがまとまらなくて、というか、そうだな…」
とか言ってしまって、会話がね、こちらから成り立たせるのは難しい。
自分との会話…というか、自分への反駁を喋る前にしてしまって、とどまる所が無いのもまた一つの原因か。
脳味噌は一つなので、どうしても遅れる。
考えていることが一つではない。価値観を一つ所に置かない。というのは、自分の意思から瞬発力を奪うものであるらしい。
僕は幼少期は直感的な人間だったように思う。
感情が出易い点とか、そういう点を顧みると、根本はそうであるに違いない。
しかし、いつしか直感を批判的に検証し、思考することを身に付けた。
それが今の結果だろう。
僕は直感を常に疑い、論理への拘りに辟易する。
感情と論理の相克は常に我が身の内にある。
やはり研究者肌とか芸術家肌なのだろう。
多少切れても、遅くては実業家肌ではない。
計画性も無いしな。
駆け足の社会からは半歩離れているのだろう。
僕は常に緩急自在で在りたいから、動く歩道には乗りたくないのだ。
うむ?口下手の話だったのに、すっかり忘れていた。
こういう風に、話の流れを忘れるのも、口下手の一因かな?
短く鋭い一言なら割と特異なのだが。