ジグソーパズル/散文
絵柄と形を頼りに、ぴったり合うピースを探している。
65億ピースの壮大なパズル。
僕はその中のひと欠けに過ぎない。
僕の絵柄と形に合うひと欠けを、ずっと探している。
家族や友人、恋人の繋がりが描く図像。
数ピースが家族を、数十ピースが集落を、数百ピースが地域を、数千ピースが地方を…。
そうして地図を描いていく。
65億ピースの世界地図。
ピースの数は日々増え続けている。
それぞれのピースも日々変わっていく。
新しいピースと変化したピースが、居場所を求めてさ迷っている。
自分がぴったりと収まる、ピースとピースの間を探している。
ピースの絵柄は、単純にして複雑なモザイク模様。
信条や信仰、人種や性別、そして性格を示している。
ピースの形は、その感情を示す。
角張ったピース、丸まったピース…時々刻々と変化して常に一定でない。
一度填まってしまえば、簡単には形を変えられないのだけれど、色は変形できない負荷で変わってしまう事がある。
だから、安定した図柄を作るにはぴったりくる相手を見つけなくてはならない。
誰が誰の隣に来れば、きれいな図像が描けるのだろうと、誰もが考え、困惑している。
力で押し込もうとして反撥され、無理矢理に入り込んで傷つく。
Puzzled pieces puzzle the world.
散らばったピース、混沌の世界。
いつか完成して、秩序が訪れる事は無いのだろうか?
僕らはとてもちっぽけで、自分の周りのピースを繋ぐだけでやっとだ。
けれど、その小さな試行錯誤の積み重ねの果てに、パズルの完成がある事を僕は知っている。
一時期、パズルにハマっていた事があるからね。