静かな車

最近、花粉の襲撃をできるだけ避けるために、出歩く時はなるべく目を瞑っています。

この呪われた病気に侵される前から、目を瞑って歩く練習を欠かさずにいた成果がこんな所で活きました。

行き帰りの道の足元は知り尽くしていますから、4、5歩に一回くらい目を開ければ十分安全に歩けます。

人や車はその目を開けている間に遠目から確認し、近付いたら目を開けて衝突を避けます。

目が痛い時に目を瞑って歩く、という話は以前の記事でもしましたが、実はきれいな歩き方を意識するためにも時々やっています。

趣味みたいなもんですね。

一つの感覚を遮断すると、世界はがらりと姿を変えます。

そしてその新たな世界はいろいろな事を教えてくれます。

人間がいかに視覚に頼って歩行しているかとか(目を瞑るとなかなか真っ直ぐ歩けません)、1センチの段差の存在感の大きさとか、音という情報の捉え方とか。

目を瞑って歩く時に重要なのは、音です。

足音や鞄の音が人の存在を、チェーンやブレーキの音が自転車の存在を、そしてエンジンの音が車やバイクの存在を教えてくれます。

そんな中、最近気になるのは車の音がどんどん静かになっている事。

バイクはそんなに変わらないのですが、車は本当にここ数年で静かになりました。目を開けて歩いていても、見通しの悪い交差点では出会い頭にはっとさせられる事が多くなりましたが(←交差点では目より耳に頼る癖がついている)、目を瞑って歩くと殊更にそれを感じます。きっと目の不自由な方はお困りでしょうねぇ。

以前テレビで、杖先で対物距離を検知して、所有者に障害物との距離を振動の強さで知らせる杖が紹介されていましたが、将来的には、その杖と車が警告しあうシステムが必要かもしれません。

…なんてことを考えながら今日もなるべく目を開けないようにして登校しました。

席に着いて最初にするのは鼻をかむ事。次に、目薬をさして、睫毛を拭きます。

雨ですが、花粉検知器は今日も鋭敏です…。

はぁ、くっさめ、くっさめ…。