月/詩歌

□月

わたしは、漆黒に塗りつぶされた夜に独り、あなたをじっと見つめています。

わたしは、闇に浮かぶ惨めな石ころ。

あなたは、闇に輝く稀なる瑠璃玉。

わたしには、その輝きは、強くて、眩しすぎるのに、それでもあなたから目を逸らせない。

わたしは、陽の下を行くあなたに従い、あなたを中心に回っています。

わたしは、あなたの醜きしもべ。

あなたは、わたしの美しきあるじ。

わたしは、少しずつ遠ざかるけれど、けしてあなたから離れる事はできない。

あなたは、わたしにその身を分けた存在なのに、どうしてこんなにも違ってしまったのだろう?

わたしは、渇いていて、常に孤独に苛まれている。

あなたは、瑞々しく、多くの子らに恵まれている。

元は同じ太陽の下に生まれたもの同士、どうしてこんなにも違うのだろう?

わたしとあなたは双子星。

わたしは、白く輝く月。

あなたは、青く輝く地球。

わたしはあなたに寄り添って、くるりくるりと回り続ける。

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□月夜見

ぼくは、漆黒に塗りつぶされた夜に独り、あなたをそっと見上げています。

ぼくは夜に住む小さく醜い道化。

あなたは夜を澄む偉大で美しい女王。

ぼくには、その輝きが、優しく、心地よくて、それであなたから目を逸らせない。

わたしは、夜の闇を行くあなたに従い、あなたの下に参じています。

ぼくは、闇に沈む惨めな石ころ。

あなたは、闇に輝く稀なる玻璃玉。

ぼくは、少しでも近付きたいけれど、それはけっして容易にできない。

あなたは、ぼくに光をもたらす。何でこんなにも優しいのだろう?

ぼくは、昼の光に渇き、苛まれる。

あなたは、それを潤し、癒してくれる。

元は同じ太陽の光なのに、何がこんなにも柔らかいのだろう?

ぼくはあなたを追いかける。

ぼくは、小さく愚かな旅人。

あなたは、偉大な輝ける月。

ぼくはあなたの輝き目指し、船を駆って宙を飛ぶ。