夢日記060213

■Feb.13.Mon

一面、背丈ほどの高さの深い枯野原だ。

白のランニングシャツの裾をジーパンに入れた男が走っている。松田優作みたいなスタイル(以後マツダと呼ぼう)。右手に白のワンピースを着た女性の手を引いている。

時折、振り返り振り返りしながら、彼らは走っている。

逃げているのだ。

後方から発せられる怒声。その発信源は彼女の兄だ。薄汚れたシャツ。ぼさぼさに乱れた髪。片手に包丁を握り締め、半狂乱で喚き散らしている。

僕はその光景を俯瞰している。

行く手に家が見えてきた。質素な平屋だ。一も二もなくそこに逃げ込もうとする。しかし、彼女を先に入れた時には、もう奴に追いつかれてしまった。彼が素手で相対する。

もみ合いの中で獣と化した男は包丁を落とした。

必死のマツダがそれを先んじて拾う。

獣の如くそれを奪い返そうとする男。

マツダは反射的に手に持った包丁を振り下ろした。

男の背中の真ん中に、中ほどまで包丁が刺さった。

だが致命傷ではないらしい。または、狂気から生じる精神力は痛みすら凌駕するのか。その男は立ち上がり、マツダに掴みかかろうと駆け寄る。獣のような咆哮。

マツダは家の前に立てかけてあった角材を手に取った。そして全力で振り下ろす。

ぼぐん。

鈍い音。

角材は正確に男の脳天に直撃した。間も無く、つう、と男の額を血が伝う。

ここに至ってようやく男の狂気を停止せしめたのであろうか。男の目は虚ろで、焦点が合っていない。両手は萎えたようにだらりと垂れ下がり、背筋にも力無く前屈みになっている。

それでも男の足は止まっていなかった。よろり、よろりとまるでゾンビのような奇っ怪なゆっくりさで進む。

そしてドアの前に来た時、マツダがその肩を掴んだ。男に抵抗する力は無い。歩みは止まる。

と、ドアが開いた。中から若い男が出てくる。どうやらマツダの友人らしい。

程なくして警察が警報音と共に到着した。40がらみの髪の薄い男が、もはや抜け殻のような男を引き取っていく。

家の奥から女性はその様子を遠目に見守る。困惑した表情。

>なんか最近夢の中が物騒な気がする…。

>元々、物騒な夢の方が心に強く残るから仕方ない面もあるけど。

>楽しい夢ってなかなか記録できないんだよなぁ。