BlackHole/散文
この宇宙の星々のように、世界に情報は偏在し、さまざまな形で存在している。
あるものは固形物、あるものはガス体。
あるものは周期を持って現れ、あるものはその存在が推定されるだけでどのような実体か未だ観測されていない。
情報の、星の海。
そんな知識の宇宙の中で、僕は一種のブラックホールだ。
知識を喰らって大きくなる。
知識が増えれば増えるほど、重く大きくなって新たな知識を欲する。
食って喰らって肥大し続ける。
とどまることを知らない欲求。知識欲。
大きくなればなるほど、己の小ささを知る。
次の知識を喰らって、もっと大きくなりたい!
貪欲に、果てしない道。
一度それが心の中に生まれたら、あなたはその重力のくびきから決して逃れ得ない。
光すら逃れられないのに、どうやって逃れえようか?
あなたはその無限の重力の中心で、ひたすらにその見えざる触手を伸ばして情報を引き寄せる。
そしてさながら、本物のブラックホールが事象の地平線からゆらぎによって生まれた光を放出するように、その知識の塊から新たな知識の光を生み出して放射する。
そしていつか蒸発するまで、知識の地平線からインスピレーションを放射し続ける。
情報を喰らって、情報を放出し続ける。
そう在らざるを得ない。
知識を得るということは、そういうことなのだ。
情報満つる宇宙に浮かぶ知識のブラックホール。
貴方の中にはありますか?