カフェテラス/絵画
南仏アルルの街にあるカフェテラスを描いたこの作品は、夜空の深い青色とカフェテラスを満たす暖かなオレンジ色が対照的で、印象深い。
しかし、この色の対比と同じくらいに心を打つのが、キャンバスとカフェテラスとの距離である。
この絵を描いているゴッホを想像してみる。
暗い青で染まった夜空の下、世界は静けさに支配されようとしているのに、このカフェテラスだけは活気溢れるオレンジ色の光で満ちている。
夜、眠りに付く前の一服、その日一日の話で賑わう店内。
しかし、ゴッホだけはそこから少し離れた場所、青い闇の中で絵筆を握りキャンバスに向かっている。その賑やかさと静けさを絵に記録するために。
生涯孤独感に苛まれたゴッホであるからこそ、このカフェテラスまでの距離が切ない。
もちろん帰り際にはカフェで一杯飲んだかもしれない。
アルルはゴッホの一生の中で最も輝いた時期なのだから。
しかし、幸せな時期だからといって生涯に亘って付きまとった孤独と無縁ではいられなかったのだ。
そして、だからこそカフェテラスのオレンジがますます引き立つのだと思う。
ちなみにこの絵の主題のカフェテラス。
現在もそのままの姿で営業中なのだそうだ。
ゴッホがこの絵を描いたであろう位置を推定して、キャンバスを置いているらしい。
変わらない町並みと言うのは、絵になるという栄誉にも浴することができ、それが有名になれば観光資源となるのだなぁ。
ぜひ行って見て、カフェオレでもいただきたいものだ。
コーヒーは胃が弱くて飲めないので。