武井宏之『仏ゾーン』全3巻(集英社JUMP COMICS)
力と力のぶつかりあいは人の愚かな戦争行為・・・。
これぞまさに究極の仏理攻撃、因果応報だ!!
/第三巻、仏16より、センジュのセリフ/
ハイ、スイマセン。まさしくこのセリフが出てくるホンの数ページのために仏ゾーン全3巻買いました。
すいません。反省してます。(←口だけ)
人気の出るような展開では全く無かったですが、いや、でもいい漫画だったです。個人的に。
弥勒菩薩の生まれ変わりの少女、“西岸サチ”が仏の国から来て仏像に乗り移った千手観音の“センジュ”と悟りを開くために旅に出るという・・・説明したら何か宗教色漂って駄作の匂いがぷんぷんしちゃいますね。
違うんですよ、仏教を知ってたら笑えたり燃えたりできる立派な少年漫画なんです。
「56億7千万念」とか、「何気に気取った半跏思惟のポーズ」だとか、「ジゾウ君が待ってた2500年」とか、「千手パンチ覇手式」とか、面白いところはあるんです。僕には大ヒットでした。・・・って、ああ、だめだ・・・読者を絞ってますね。いかん。魅力を伝えきらない。普通の人に伝わる面白さを発見できない・・・。
バトルも普通だし・・・う~ん・・・。
とにかくのっけから色々とマニアック過ぎるたんですよねぇ・・・。
しかも主人公が女の子である上に、弥勒菩薩の生まれ変わりでこれから悟りを開かなきゃいけないという、超浮世離れした設定。
いわゆる「普通の少年少女が突然不思議な力に目覚めて・・・」系(漫画学が進んだ現代ではこれについて専門的な用語がつけられているんですかね?)で始まったほうが読者の感情移入を誘えたのではないでしょうか?
主人公(男)は心優しい普通の少年なんだけれどいろんな人を助けたいと思っていたと、そんで突然千手観音の力を授かって・・・的なね。ベタなんだけど、これは踏むべき王道でしょう。(キリスト教系の天使悪魔が出てくるやつはこれで行ってるのを良く見る気がします。)
そうすれば主人公の彼を通して、徐々に仏教の世界観を理解していくことができたはずです。それに菩薩だから悟りの境地まで達する必要が無いし。悟るってのは中々尋常のことではありませんから。
また、救い続ける千手観音を主人公に据えて、読み切り時に愛染明王が放ったあの言葉がメインテーマにできるんです。
ああ、そう考えると勿体ない。
こうしてピンポイントにヒットしたマイナー漫画を愛するワタクシなのでした。