深みより高みへ
ホークスがマリーンズにプレーオフで敗れた。
この記事の大半はプレーオフに対する苦言だ。
長いので後半は「続きを読む」に格納する。興味がある人は読んでいただきたい。
まず述べるべきはねぎらいの言葉だろう。
3戦で終わっていればこんなに冷ややかな気持ちでロッテの優勝を眺めてはいなかっただろう。
奇跡の追い上げがあったからこそ、こうして何とか平静さを保っていることができている。
選手は現時点で出せる限りの力を尽くした。
それが実力からは程遠かったにしても。
お疲れ様でした。
次に述べるべきは祝辞だろうか?
31年ぶりの優勝。初優勝に等しい喜びだろう。
ロッテは強かった、これは事実だ。パ・リーグの代表として力不足では無いと言える。
ルールに則った勝者なのだ。我々は快く送り出そう。
そうすべきである。
プレーオフ制度に不満がある。
1位チームのアドバンテージ、5ゲーム以上という壁の厚さ・・・第2ステージ対戦相手が決定するまでの間に生じる実戦感覚の格差、失うものの無い2位チームの開き直りと1位チームにかかる重圧・・・1位チームに不利に作用するこれらの要素。確かに問題はある。
しかし、これらはプレーオフの制度的問題の表層に過ぎない。
日本のプロ野球のチーム数ではプレーオフをやる必要は無いというのに、それを無理に実施していることが問題なのだ。
日本のプロ野球はセ・パ両リーグ合わせて12球団。
それを1リーグ6チームに分けて、2リーグで戦っている。
6チームとは、対戦試合数と消化試合を考えると1リーグの限界のチーム数と考えられる。これ以上多いと消化試合が増えすぎるからだ。
アメリカのメジャーリーグは全30球団なので、1リーグ6チームを超えないように、かつ、2リーグ制の名残を残しつつ分けた結果、6地区に分かれて戦うこととなっている。
それで各リーグの勝者が6チーム出るが故に、レギュラーシーズン後にワイルドカードの2チームを加えた8チームでのトーナメント、プレーオフを必要としているのである。
2リーグなのにプレーオフをやる必然性がどこにあろうか?
確かに消化試合は見た目には、減っている。
しかしその見方は近視眼的と言わざるを得ない。
ここ数年は、8月頭には1位、2位がほぼ決まっている。だから、レギュラーシーズンの2か月分は丸々消化試合となっているといっても過言ではないし、それ以上に、このまま2位有利の状況が続けばシーズン1位の価値は年々低下し、8月以降のたるみが顕著となるだろう。(城島だって9月に試合に出ていなければ・・・という考えだって成り立つ。)
ホークスの一部選手達の間で「来年は2位を目指そう」と半ば冗談ながらも話をしていた、という報道にこの考え方の兆候が見て取れるはずだ。
プレーオフよりも試合数の多いレギュラーシーズンの位置付けの低下は危惧すべき問題である。
その時は、セ1位とパ2位、パ1位とセ2位を1回戦で当てるようにする可能性が高いが、セ・パの2位が進出した場合はどうするのだろう?それでもペナントを授与するのだろうか?
それこそレギュラーシーズンの全てが消化試合だ。
こんなシステムをやるくらいなら、始めから全12チームのトーナメントにしてしまったほうがよっぽど説得力がある。
消化試合を減らすのにもっといい方法があるのに。
それは全チームの戦力が拮抗すること。
1位から6位までが10ゲームで収まれば、こんなに面白いことは無い。
これはあくまで理想だが、この理想に近付くためのドラフト制度や各チームの選手年俸総額への制限などの改革が必要だろう。
もう一つの方法は、下部リーグを設けて入れ替え戦を行うというものがある。
これは、上位チームとは異なる目標を下位チームに与えることとなる。
このためには拡張路線へ向けて、意思統一を図り、明確なロードマップを作る必要があるだろう。
これらの考え方は、いずれもプロ野球界全体が一致して改革を行わなければ実現できない。
しかし、そのほうがファンにも選手にも良いことであるのは確かだ。
またぞろ球界再編の話をぶり返している。
収入が減ったから会社を小さくすればいい、なんてことをやったらその会社は潰れるに決まっている。
読者が減って収入が減ったから紙面を減らそう、なんてやったら早晩廃刊でしょう?読売さん。
常に拡大を考えなければならない。それが産業なのだ。
Jリーグはそうしているし、更にその先、文化となることを計画している。
NPBもせせっこましい考えにはまっていないで、Jリーグのように大きく高く志を持って欲しいものだ。
深みに落ちかけている今だからこそ、高みを見て欲しい。
ちなみにこの辺の問題は既に結構いいサイトがある。
である。去年の球界再編に際して設置されたため、1年前のページなのであちこちリンクが外れている可能性が高いが、それでも情報が網羅的に掲載されている。
昨年見てかなり共感したので、ここにリンクを貼って敬意を表したい。